重症COVID-19に対するデキサメサゾン12mgのRCTがJAMAに出ていました。
各ガイドラインの記載が変わりそうな重要なStudyです。HFNCになったタイミングでトシリズマブを併用するのか、デキサ12mgに増量するのか、あるいはその両方なのか、というところが今後の課題になりそうです。
Effect of 12 mg vs 6 mg of Dexamethasone on the Number of Days Alive Without Life Support in Adults With COVID-19 and Severe Hypoxemia: The COVID STEROID 2 Randomized Trial
JAMA. 2021 Oct 21. doi: 10.1001/jama.2021.18295.
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2785529
- Design: Double-blind RCT
- P: 10L/min以上の酸素需要、もしくはNIV・機械換気下のCOVID-19
- 除外基準で重要なものは、5日以上のCOVID-19に対するステロイド投与(4日以内ならOK)
- I: デキサメサゾン12mg 10日間
- C: デキサメサゾン6mg 10日間
- O: 28日目における生命維持装置(呼吸器・循環補助・腎代替療法)なしでの生存日数
結果:
- 12mg群に491名、6mg群に480名が割付けられた
- NIV 25%、IMV 21%の患者が含まれ、レムデシビルが63%、IL-6阻害薬が11%、JAK阻害薬が1%に併用された
- ベースライン背景・重症度は2群間でほぼ同じだったが、6mg群にDMが多かった (27% vs 37%)
- Primary endpointは、12mgが22.0日 (IQR 6.0-28.0)、6mg群が20.5日 (IQR 4.0-28.0)、リスク差1.3日 (95%CI, 0-2.6, p=0.07) だった
- 28日目死亡率は、12mg群で133/491 (27.1%)、6mg群で155/480 (32.3%)で、HR 0.86 (99%CI 0.68-1.08)、
- 90日死亡率は、12mg群で157/490 (32.0%)、6mg群で180/478 (37.7%)で、HR 0.87 (99%CI 0.70-1.07)
- サブ解析ではIL-6阻害薬を併用していない患者、ステロイド開始して2日以内の患者での利益がより大きい傾向があった
- 重篤な有害事象は、12mg群で102人 (20.5%)、6mg群で123人(25.4%)であった
- Supple eTable10に内訳があり、血栓症、敗血症、AKIなどが少しずつ多いようです
感想:
有意差こそついていませんが、増量ステロイドの死亡率改善効果を示す重要なRCTと考えます。あまり目立った有害事象の増加もないようであり、少なくとも大きなデメリットがなさそうに見えます。
有意差がつかなかった主な原因は、介入の効果が想定より弱かったことによるサンプルサイズの不足だと思われます。
Primary endpointは12mg群で42.6%、6mg群で40.2%と、実際の相対リスク軽減は6%しかありませんでした。サンプルサイズは15%の相対リスク軽減を想定していましたので、Nが不足であった感は否めません。
相対リスク軽減が想定よりも低かった原因としては、ランダム化の前に4日間までのステロイド治療が認められていたことで、介入の効果が低下した可能性が考察されています。
ただ事前のステロイド使用を認めるということは、極めて実臨床に即している気がするので(6mgで効かずに重症化したら12mgに増量するというプラクティスになる)、個人的には妥当なデザインではないかと思います。
介入効果に見合ったNであったなら有意差が出たであろうデータに見えるので、今後はデキサメサゾン6mgでうまくいかなければ4日以内に12mgに増量するということが、ある程度エビデンスを持った選択肢になったのだろうと、個人的には考えました。