ACIPの記載
MMWR, September 3, 2010, Vol 59, #34免疫正常の19-64才でPPSV23を打つ適応があるのは、
慢性心不全(高血圧を含む)、肺疾患(COPD、肺気腫、喘息)、喫煙、糖尿病、髄液漏、人工内耳、アルコール多飲、慢性肝疾患(肝硬変)
となっており、IPDの既往は含まれません。なおPCV13については記載がありません。
UpToDate
"Pneumococcal vaccination in adults" の Initial vaccination の項にあるHistory of invasive pneumococcal disease に以下の記載があります。
"We vaccinate individuals who have a history of invasive pneumococcal disease (eg, meningitis, bacteremia) with both PCV13 and PPSV23 because they have proven to be susceptible to pneumococcal infection and because infection with one serotype does not provide protection against other serotypes. However, the ACIP has not issued a statement on vaccination for this population."
ACIP推奨はないが著者のエキスパートオピニオンでPCV13とPPSV23を打つのが良い。
ACIP推奨はないが著者のエキスパートオピニオンでPCV13とPPSV23を打つのが良い。
しかしこれを支持するエビデンスやガイドラインはないようです。
J Infect Dis. 2010 Oct 1;202(7):1114-25.
Design: Double blind RCT
P: 2003~2007年にマラウイのQueen Elizabeth Central HospitalでIPDを生き延びた患者
I: PCV7接種
C: プラセボ(1:1割付)
O: ワクチン血清型または血清型6AによるIPD発生率
IPD二次予防としてのPCVのRCT
ACIPでHIV患者にPCV13とPPSV23を推奨する記載(MMWR, October 12, 2012, Vol 61, #40)の根拠論文の一つを読んでみたところ、IPDになった健常人のデータが、以下のように少しだけ含まれていました。J Infect Dis. 2010 Oct 1;202(7):1114-25.
Design: Double blind RCT
P: 2003~2007年にマラウイのQueen Elizabeth Central HospitalでIPDを生き延びた患者
I: PCV7接種
C: プラセボ(1:1割付)
O: ワクチン血清型または血清型6AによるIPD発生率
結果:
ということで、HIVでもNNTは60程度です。基礎疾患なしでIPDになった人は、HIVのように再罹患率が高いわけではないので、PCVで得られるメリットは相当少ないと予想されます。
- 496名(うち88%がHIV陽性)を登録
- 798人年の観察期間中、52人の患者に67のIPDイベントが発生
- IPDイベントの全てがHIV患者に発生した
- IPDイベントのうち19がワクチン血清型、5が血清型6Aだった
- この24イベントの各群の内訳はPCV7群5件、プラセボ群19件で、
- ワクチン有効性は74% (95%CI 30〜90) と評価された
ということで、HIVでもNNTは60程度です。基礎疾患なしでIPDになった人は、HIVのように再罹患率が高いわけではないので、PCVで得られるメリットは相当少ないと予想されます。
結論
免疫正常者のPCVによるIPD二次予防は、得られるメリットが相当限定的であるため、少なくとも積極的な推奨はされない。PPSVもデータはないが同様と考えるのが自然ではある。