2020年7月6日月曜日

COVID-19における抗リン脂質抗体プロファイル

A&RとmedRxivのpre-printにCOVID-19におけるaPLの話題がありました。

活動極期に一過性CAPSのようなことが起きているのかと思いましたが、時系列的には先に血栓ができて、その後aPLが検出され、疾患の沈静化とともに陰性化しているように見えます。血栓素因というより、血栓の結果としてaPLができていると考えるのが自然でしょうか。


medRxiv. Posted June 17, 2020. [Pre-print]
Prothrombotic antiphospholipid antibodies in COVID-19.
  • COVID-19の入院患者172人の血清で8種類のaPLを測定した (aCL IgG/IgM/IgA, aβ2GPI IgG/IgM/IgA, aPS/PT IgG/IgM)
  • いずれかのaPLが52%に認められ、内訳はaCL-IgM 23%、aPS/PT-IgG 24%、aPS/PT-IgM 18%だった
  • 高力価aPLは、NETsを含む好中球過活動、血小板増多、重篤な呼吸器症状、GFRの低下と関連していた
  • COVID-19患者由来のaPLは、既知のAPS患者と同様に、NETs放出を促進し、マウスへの投与で静脈血栓の形成を増強させた


Arthritis Rheumatol. 2020 Jun 30. doi: 10.1002/art.41425.
Brief Report: Anti‐phospholipid antibodies in critically ill patients with Coronavirus Disease 2019 (COVID‐19)
  • COVID-19確定患者の重症66名と非重症13名の血清で以下のaPLを測定した
    • aCL (IgG, IgM, IgA) (CIA)  
    • aβ2GP1 (IgG, IgM, IgA) (CIA)
    • IgG aβ2GP1‐D1 (CIA)
    • aPS/PT (IgG, IgM) (ELISA, INOVA)
    • LA (dRVVT)
  • 重症の47.0% (31/66)でaPLが検出されたが、非重症では検出されなかった
  • aPLの内訳は多い順に、IgA aβ2GP1 (28.8%,19/66)、IgA aCL (25.8%, 17/66)、IgG aβ2GP1 (18.2%, 12/66)だった

  • 複数のPLを有する患者ではaPL陰性者と比較して脳梗塞の発生率が有意に高かった (5件 vs. 0件, p=0.01)
  • 時系列でaPLを確認できた6名の抗体価の変動の傾向は、30~40日目にピークとなり、その後60日目頃までに陰性化していた

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