2020年10月3日土曜日

ループス腎炎に対するベリムマブの併用(BLISS-LN study)

ALMS study以来のループス腎炎のプラクティスが変わりえる論文がNEJMに掲載されました。


Two-Year, Randomized, Controlled Trial of Belimumab in Lupus Nephritis

N Engl J Med 2020; 383:1117-1128

DOI: 10.1056/NEJMoa2001180


  • Design:Double blind RCT
  • P: ANA80倍以上or抗ds-DNA抗体陽性のSLE (尿蛋白>1g/gCr、ISN/RPS III or IV or V)
    • 除外基準:1年以内の透析歴、eGFR<30、CY及びMMF両剤での寛解導入失敗歴、1年以内のB細胞標的治療
  • I: 標準治療+ベリムマブ(10mg/kg静注day1,15,29, 以後4w毎100週まで)
    • 標準治療:IVCY 500mg/body/2w 6回 or MMF3g/day+PSL0.5-1mg/kg/day(±パルス)+HCQ+ARB/ACE-I
    • CYではAZA2mg/kg/dayで維持、MMFでは1-3g/dayで維持
  • C: プラセボ(1:1)
  • O: 主要評価項目は104週の腎反応率(尿蛋白≦0.7g/gCr、かつeGFRがBaselineより20%以上悪化しない、かつ追加治療を要しない)
    • 副次評価項目は104週の完全腎反応率(尿蛋白≦0.5g/gCr、かつeGFRがBaselineより10%以上悪化しない、かつ追加治療を要しない)


結果

  • 104週の腎反応率はベリムマブ群43%、対照群32% (絶対差+11%, OR 1.6, 95%CI 1.0-2.3)
  • 104週の完全腎反応率はベリムマブ群30%、対照群20% (絶対差+10%, OR 1.7, 95%CI 1.1-2.7)
  • 両群の有害事象に大きな差はなかった
  • サブ解析で、ベリムマブの併用はMMF使用者でのみ有意に腎反応率を改善した。ベリムマブ群46.3%、対照群34.1% (絶対差+12.20%, OR 1.58(95%CI: 1.00-2.51)





感想

ベリムマブを併用することによる2年後の寛解導入・維持上乗せ効果のNNTは9と相当なインパクトがあり、MMFでの寛解導入、維持療法にベリムマブを足したほうが良さそうなのは間違いないですが、CYにもベリムマブを併用すべきか、CY単独とMMF+ベリムマブのどちらが優れているか、CNIの併用の位置づけをどうすべきか、等、また新たな疑問が生まれてきますね。

本試験でMMFとCYのいずれを使用するかは主治医に委ねられていたので、重症例にはCYが入っていしまっているのではないか、という考察がEditorialでも触れられていました。

色々と選択肢が出てきたことで、相対的にエビデンスレベルが低くなってしまったCNIの出番は、今後やや少なくなっていくような気がします。

個人的には、軽症・中等症にはMMF+ベリムマブ、重症例はCY(+ベリムマブ)、妊娠希望者の維持療法にはCNI(+AZA)、という使い分けができそうでしょうか。


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