RAに対するウパダシチニブとアバタセプトのHead to Head試験が、NEJMに掲載されました。色々問題を含みながらも価値のあるデータだと思います。
Trial of Upadacitinib or Abatacept in Rheumatoid Arthritis.
N Engl J Med 2020; 383:1511-1521
- Design: Double blind RCT, global, 非劣性試験
- P: TJC6以上、SJC6以上、CRP0.3以上のRAで、1つ以上のbDMARDが無効or忍容性がない
- 除外基準:アバタセプトやJAK阻害薬の投与歴がある
- I: ウパダシチニブ15mg 1日1回
- C: アバタセプト静注(日本の添付文書と同じ用量)
- O: 12週の⊿DAS28-CRP(非劣性マージンは+0.6、検出力90%)
結果
- 613名がランダム化、303名がウパダシチニブ群、309名がアバタセプト群に割り付けられた
- 両群およそ90%が24週までのプロトコルを完遂した
- ⊿DAS28-CRPはウパダシチニブ群-2.52、アバタセプト群-2.00で、ウパダシチニブの優越性が証明された(差-0.52, 95%CI: -0.69~-0.35)
- SJCの推移、CDAIについては両群で有意な差がなかった
- ウパダシチニブ群は、全てのAE、SAE、AEによる治療中止が多い傾向で、肝障害は有意に多かった(ウパダシチニブ群7.6%, 95%CI 4.8-11.4、アバタセプト群1.6%, 95%CI 0.6-3.8)
感想
ADACTA試験から伝統の「CRPマジック」が活用された非常にコマーシャルなデザインで、正直見るに堪えないFigureも多いです。敢えてTNFを選ばず、最も立ち上がりが遅そうなアバタセプトを対照群にしているのも恣意的ですね。
ただ立ち上がりが早いことは真実のような気がするので、副作用に耐えられそうで、Rapid ragiological progressionが予想されるようなAgressiveなRAではJAKを選択するのが良いかもしれないと感じさせてくれるデータです。そういった意味では1年後、2年後の骨破壊を含めたデータに期待したいです。
あとTJCで差が出る理由は立ち上がりだけで説明できない気がするのですが、実臨床でも腫れが引かないのに痛みだけなぜか良くなって継続している人を経験しているので、なかなか面白い特徴だなと思いました。(もしCRPがブラインドされていなかったら、プラセボ効果かもしれないですが)
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