コルヒチンのRCTがプレプリントで出ていました。想像以上に良い成績で驚きます。
medRxiv. Preprint Posted January 27, 2021.
doi: 10.1101/2021.01.26.21250494
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2021.01.26.21250494v1
- Design: Double blind RCT
- P: 40才以上で1つ以上の重症化リスク因子がある外来COVID-19 (PCRまたは臨床基準で診断)
- I: コルヒチン30日間(0.5 mg 1日2回3日間、その後1日1回)
- C: プラセボ30日間
- O: 30日後の死亡または入院
- 重症化リスク因子:70才以上、BMI>30、sBP>150、DM、呼吸器・心・冠動脈疾患既往、BT>38.4、呼吸困難感、2系統以上の血球減少、好中球上昇+リンパ球減少
- 統計:ITT解析、ロジスティック回帰モデル、25%のリスク軽減を想定したサンプルサイズを各群N=3000と試算
結果
- 4488名が登録され、コルヒチン群に2235名、プラセボ群に2253名が割り付けられた
- 発症から登録までの期間は中央値で5日、治療期間の中央値は26日
- 30日後の死亡または入院はコルヒチン群4.7% (104/2235)、プラセボ群5.8% (131/2253) だった (OR 0.79, 95%CI: 0.61-1.03, p=0.08)
- 30日死亡率はコルヒチン群0.2% (5/2235)、プラセボ群0.4% (9/2253) だった (OR 0.56, 95%CI: 0.19-1.67, p=0.08)
- 事前に設定されたPCR確定4159例のサブ解析では、コルヒチン群4.6% (96/2075)、プラセボ群6.0% (126/2084)で有意な減少を認めた (OR 0.75, 95%CI: 0.57-0.99, p=0.04)
- AEとしてはコルヒチン群に下痢が多かったが (13.7% vs. 7.3%)、他はプラセボと概ね同様で、SAEについては両群で差はなかった(4.9% vs. 6.3%)
考察
頑強なデザインの二重盲検RCTで、サンプルサイズに見合った相対リスク軽減率が得られています。惜しくも主要エンドポイントでは有意差が出ていないのですが、PCR確定例では有意差がついています。
全患者におけるNNTは91、PCR確定例に絞った場合は71と、個人的には臨床的インパクトが十分に大きいEffect sizeだと感じます。
機序としては抗ウィルスではなく、抗炎症による重症化抑制なのでしょう。
有害事象も軽微ですし、外来で入院適応外の症例へお祈り程度に処方するのは、アビガンやシクレソニドよりはコルヒチンの方がよっぽどアリだと思います。デカドロンはRECOVERY試験の軽症例サブ解析で、死亡率が(有意差はないものの)上昇していたので、今後は入院はいらないけど重症化しそうで心配、という方の良い選択肢になりそうです。
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