NPSLEと中枢神経(CNS)感染の区別は時に難解です。
髄液多核球が90%にも関わらず、NPSLEとしか考えにくい症例があったのですが、その考察過程で読んだ文献が面白かったので共有します。ちなみにその症例のスコアは4/8点でした(CSFの4項目)
Arthritis Res Ther. 2019; 21: 189.
doi: 10.1186/s13075-019-1971-2
- Design: 後ろ向き観察研究
- 方法:
- 8491人の入院SLE症例をスクリーニングし、95名のCNS感染症を抽出した
- 年齢・性別を一致させる計算アルゴリズムを用いて対象となるNPSLEを登録した
- NPSLEからCNS感染症を区別するのに有用な要因を、多変量ロジスティック回帰分析を用いてスコア化する
- 得られたスコアは別コホートを用いてValidationを行った
- 多変量ロジスティックの結果
- 罹病期間が長い (21.0 [3.0–50.0] vs.1.0 [0–22.0] months, OR = 5.2, 95%CI 1.1–24.5, P < 0.05)
- 発熱 (96.8% vs. 23.2%, OR = 34.3, 95%CI 5.2–226.7, P < 0.001)
- CSF多核球割合 (45.6% vs. 0.5%, OR = 1.09, 95%CI 1.00–1.19, P < 0.05)
- CSF糖 (2.0 ± 1.3 vs. 3.3 ± 0.9 mmol/L, OR = 13.7, 95%CI 2.1–85.8, P < 0.01)
- 低補体血症 (44.6% vs. 77.4%, OR = 0.08, 95%CI 0.02–0.41, P < 0.01)
- 注釈:糖の単位換算: (mmol/L) *18 = (mg/dL)
- 得られたスコア(SSS-8)
- ValidationコホートでのAUC 0.93 (95%CI 0.80–1.00)
- 4点以上でのCNS感染症を診断する感度85.7%、特異度93.3%
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