2020年4月5日日曜日

SARS-CoV2の経時的Viability

SARS-CoV2の経時的Viabilityを検討した論文が出ています。
COVID-19を真面目に診療している病院のベッドはもう限界に達しており、早急に新たな退院基準を検討する時期に来ています。退院基準の根拠となりうる非常に重要な論文です。

Nature. 01 April 2020
Virological assessment of hospitalized patients with COVID-2019.
  • 9症例のCOVID-19患者の各検体におけるウィルス学的解析
  • 発症1~5日目の咽頭・鼻咽頭PCRは100%陽性で、平均ウィルス量は6.76x10^5  copies
  • 発症5日目以降の咽頭・鼻咽頭PCRは39.93%陽性で、平均ウィルス量は 3.44x10^5 copies
  • 尿と血清サンプルで陽性のものはなかった
  • 発症1週間以内の咽頭・鼻咽頭の16.66%、痰の83.33%でウィルス培養が陽性だった
  • 発症8日目以降の咽頭・鼻咽頭では高ウィルス量にも関わらず、ウィルス培養は陰性だった
  • Probitモデルによる推定で、発症から培養陰性化までの期間は9.78日 (95%CI: 8.45~21.78)

  • 同様の推定で培養陰性化に相当するウィルス量は、6.51 Log10 (95%CI:-4.11~5.40)
  • 全ての便でウィルス培養は陰性だった(発症6~12日に採取)
  • ウィルスの活発な複製を意味するsgRNAは、咽頭は4/5日目で高く、6/7日目以降は検出されなかった
  • 痰のsgRNAは10/11日目まで持続的に減少しつつも検出され続けた


感想:

ウィルス量と臨床症状、ウィルスのViabilityの相関はかなり悪そうです。Probitモデルの推定でも95%CIは0を跨いでおり、使い物にならない印象です。
想像していたとおりPCR陰性化まで隔離を続ける意味は低そうで、鼻咽頭スワブのウィルス培養が陰性化すると考えられる発症10日目がベッドを有効活用するための退院の目安の一つだと思いますが、痰のウィルス複製がそれを超えてかなり長期間持続している点は気になりました。

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