Rheumatology (Oxford). 2020 Apr 1;59(4):e24-e32.
Rituximab for maintenance of remission in ANCA-associated vasculitis: expert consensus guidelines
1. 維持療法としてRTXをいつ使用すべきか
1.1 新規及び再発GPA/MPA
- RTXで寛解導入したGPA/MPAで、RTXによる維持療法を推奨する (Level 2b, grade B, vote100%)
- CYで寛解導入したGPA/MPAで、RTXによる維持療法を推奨する (Level 1b, grade A, vote100%)
1.2 EGPA
- 維持療法のRTXのエビデンスは不足しているが、GPA/MPAと同様のアプローチを勧める (Level 4, grade C, vote83%)
- EGPAにおけるRTXの治療反応はGPA/MPAとは異なり、ステロイドの離脱は困難かもしれない
2. AAVにどのRTXメンテナンスレジメンを使用するか
2.1 用量と投与間隔
- 固定間隔投与で、500mg or 1000mg /body /6 months 2年間使用 (Level 1b, grade B, vote100%)
- RTX終了後も再発リスクは継続するためモニタリングは継続する必要がある。
2.2 RTXメンテナンスで再発する場合
- 再発時の治療変更は疾患活動性と臓器病変により決定する (Level 4, grade C, vote100%)
- 再発時は以下を検討せよ
- 症状はActivity由来かDamage由来か
- 代替診断、併存症の有無
- Disease driver(感染、コカイン使用の有無)
- 不完全なB細胞除去
- 可能な治療選択肢
- 寛解導入の反復(薬剤を変更しても良い)
- RTX投与間隔の短縮
- 併用療法(AZA、MMF、MTX等)
- 臨床研究エントリーを考慮
2.3 RTXメンテナンスの延長
- 2年の維持療法後も再発リスクの高い患者では維持療法の延長も検討する (Level 5, grade D, vote94.4%)
- 初回維持療法での再発、ANCAの持続的上昇、再発により臓器・生命の危機が予測される場合が該当する。
2.4 RTXメンテナンスにおけるバイオマーカーの役割
- AAVにおけるRTX維持療法のガイドとなるバイオマーカー(ANCA、B細胞リターン等)の役割はさらなる研究が必要 (Level 2a, grade B, vote100%)
3. 併用療法
3.1 免疫抑制剤、DMARD
- 維持療法で免疫抑制剤(AZA, MTX, MMF等)を既に使用している患者にRTXを開始する場合、これらの中止を提案する (Level 4, grade C, vote83.3%)
3.2 ステロイド
- ステロイドの漸減は、RTX開始後6~12ヶ月での中止を目指すべきである (Level 5, grade D, vote94.4%)
4. 予防
4.1 PCP
- RTXメンテナンスを行う全ての患者でPCP予防を提案する (Level 4, grade C, vote88.9%)
4.2 ワクチン
- インフルエンザと肺炎球菌ワクチンは全ての患者に推奨する。生ワクチンは避けるべきである
- ワクチンはRTX 1ヶ月前の接種が理想だが、タイミング設定が接種を妨げるべきではない (Level 5, grade D, vote100%)
5. 有害事象
5.1 低ガンマグロブリン血症
- (i) RTXメンテナンスにおいて
- a. 免疫グロブリンはすべての患者でモニタリングすべきである (Level 2a, grade B, vote100%)
- b. 非定型感染や感染を繰り返す場合、IgG<300mg/dL (小児では年齢補正する)の場合は精査を推奨する (Level 5, grade C, vote100%)
- (ii) 低ガンマグロブリン血症でRTXが臨床的に有効な患者では、免疫グロブリン補充の併用を考慮する (Level 5, grade C, vote100%)
5.2 遅発性好中球減少症
- 臨床医と患者は、RTXによる遅発性好中球減少症の可能性に注意する
- 合併症のない遅発性好中球減少症の既往でRTX使用を断念する必要はない (Level 4, grade C, vote88.9%)
補足
推奨内容は主にMAINRITSAN試験で得られたエビデンスに基づいています。- MAINRITSAN試験でRTXによる維持療法はAZAと比較して有意に優れていることが示された。
- 28ヶ月後の主要再発率 5% vs 29% (HR 6.61, 95%CI:1.56-27.96, p=0.002)
- RTXによる維持療法の効果はNNT 4
- この優位性は60ヶ月後のフォローアップでも持続した
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