2020年6月18日木曜日

ANCAでみるEGPA神経障害の特徴

グローブ&ストッキング分布の痺れを訴えたEGPA疑いの症例を経験しました。
EGPAの末梢神経障害は原則Mononeuritis multiplexであり、Polyneuropathyはないと理解していたのですが、MPO-ANCA陽性例では3.7%、陰性例では12.7%にPolyneuropathyを認めたという、名古屋大学神経内科の論文を発見しました(この論文の主要な論点はそこではないのですが)。


Neurology. 2020 Apr 21;94(16):e1726-e1737.
Differential Clinicopathologic Features of EGPA-associated Neuropathy With and Without ANCA.

Design

  • 後ろ向き観察研究

対象

  • 腓腹神経生検とANCA測定を行われた神経障害を伴うEGPA

方法

  • MPO-ANCA陽性群と陰性群における臨床像、病理像を比較

結果

  • 上肢の神経症状はMPO-ANCA陽性群で有意に多かった (44.4% vs 14.6%, p<0.01)
  • CRPはMPO-ANCA陽性群で有意に高かった (6.5±5.6 vs. 4.1±4.6, p=0.018)
  • CMAPはMPO-ANCA陽性群で有意に低下していたが (4.4±2.9mV vs. 6.4±4.0mV, p=0.031)、これは正中神経の軸索障害によるもので、他の神経については両群同様だった
  • MPO-ANCA陽性群では神経上皮の血管炎が有意に多かったが (p<0.0001)、陰性群では血管内腔の好酸球数(p<0.01)と、これにより閉塞された血管(p<0.05)が有意に高頻度だった

結論

MPO-ANCA陽性EGPAは血管炎による虚血・炎症、MPO-ANCA陰性EGPAは好酸球による組織障害・血管閉塞が特徴と考えられます。

感想

いずれのサブタイプも好酸球を抑制するアプローチが有効だろうことには疑問の余地がないですが、血管炎に至っていないサブタイプであるANCA陰性EGPAでは、病理像からみても純粋に好酸球をdepleteするだけで良くなるのではないか、という気がしてきます。
すなわちメポリズマブ(±数日のステロイド)だけで寛解導入が可能で、Additionalな抗炎症・免疫抑制(ステロイド・IVCY・リツキシマブ)が省略できるのではないかと妄想しました。

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