プレスリリースされていた英国のRECOVERY試験のPre-print論文が、medRxivにありました。
medRxiv. Posted June 22, 2020. [pre-print]
Effect of Dexamethasone in Hospitalized Patients with COVID-19: Preliminary Report.
- Design: Open-label RCT
- P: COVID-19で入院した患者
- I: デキサメサゾン6mg/day 最大10日間(退院まで)
- C: プラセボ 1:2割付(プラセボが2)
- O: 28日全死亡率
統計
- COX比例ハザードモデル
- ITT解析
- 検出力90%、有意水準は両側1%で、28日死亡率20%に対して4%の絶対リスク軽減(相対20%減少)を想定して、実薬群2000人のエントリーで試験を終了
結果
- 11320名がエントリーし、デキサメタゾン群に2104人、プラセボ群に4321人が割り付けられた
- 平均年齢は66.9歳で、56%に1つ以上の基礎疾患があり(DM 24%、心疾患27%、肺疾患27%)、重症度は酸素投与が3884名(61%)、機械換気・ECMOが1007名(16%)だった
- 28日死亡率は、デキサメタゾン群が454/2104人(21.6%)で、プラセボ群1065/4321(24.6%)と比較し有意に少なかった (RR 0.83, 95%CI: 0.74-0.92, p<0.001)
- サブ解析では重症度が高いほどリスク減少率が顕著であった (機械換気orECMOではRR 0.65, 95%CI: 0.51-0.82, p<0.001、酸素投与者ではRR 0.80, 95%CI: 0.70-0.92, p=0.002)
- 酸素投与のない患者群でデキサメサゾンの死亡率改善効果は有意ではなかった(RR 1.22, 95%CI: 0.93-1.61, p=0.14)
- デキサメタゾン群はプラセボ群より入院期間が短く(中央値12日vs.13日)、28日以内の退院率が高く (RR 1.11, 95%CI: 1.04-1.19, p=0.002)、この効果は機械換気の患者で最も大きかった (p=0.002)
- ベースライン時に機械換気ではない患者が、機械換気に移行または死亡するリスクはデキサメタゾン群で有意に低く (RR 0.91, 95%CI: 0.82-1.00, p=0.049)、この効果はベースラインで酸素投与を受けている患者で有意に大きかった (p=0.008)
- デキサメサゾン群に特定の死因(COVID-19を除く感染症死を含む)の増加は観察されなかった
感想
Viral loadや炎症マーカーと相関しているかなど、予備的なデータも色々気になるところではありますが、Open-labelであることを除けば、Nも大きく信頼できるデータだと思います。
今後は酸素投与が必要になった段階で、レムデシビル+デキサメサゾンというのが標準レジメンになりそうな気がします(併用が相殺的な影響を与えないかは不明ですが)
0 件のコメント:
コメントを投稿