カルシニューリン阻害薬のRCTは殆ど出てこないので貴重ですね。
Comparison of the Efficacy and Safety of Tacrolimus and Low-Dose Corticosteroid with High-Dose Corticosteroid for Minimal Change Nephrotic Syndrome in Adults
JASN January 2021, 32 (1) 199-210.
DOI: 10.1681/ASN.2019050546
- Design: 多施設Open-label RCT、並行群間、非劣勢試験(韓国)
- P: 16-79才の腎生検で診断されたMCNS、尿蛋白>3.0g/gCr、eGFR>30
- I: PSL 0.5mg/kg+TAC 0.05mg/kg 1日2回(濃度は5-10ng/ml)
- C: PSL 1.0mg/kg (Max 80mg)
- O:
- 主要エンドポイントは8週における完全寛解率(尿蛋白<0.2g/gCr)、非劣勢マージン20%
- 二次エンドポイントは完全寛解達成までの期間、再発率(尿蛋白>3.0g/gCr)、再発までの期間
結果
- 144名がランダム化され、TAC群に69名(解析対象67名)、PSL群に75名(解析対象69名)が割付られた
- 8週間時点の完全寛解は、TAC群53人(79.1%)、PSL群53人(76.8%)で、ITT(11.6%)、PPS(17.0%) いずれの解析でも非劣性が示された
- 寛解までの期間の中央値はTAC群で15日(95%CI: 14-27)、PSL群で25日(95%CI: 14-28)で有意差はなかった
- 24週における再発率はTAC群で有意に少なかった (5.7% vs. 22.6%, p=0.01)
感想
TACの併用でPSL投与量を減らせて、寛解も少し早くて、再発は明らかに減少する。感覚的にも臨床の印象と合致しますし、おそらく糸球体腎炎の寛解導入に高用量PSLは必要ないのだろうと強い確信が持てるデータです。
PSL群に同意撤回による脱落が若干目立ちますが、解釈に影響を与えるほどではなさそうです。Open-labelではありますが、エンドポイントは主に客観指標の尿蛋白なので、情報バイアスが入る余地は少なく、盲検とほぼ同義に解釈できそうです。
0 件のコメント:
コメントを投稿