2020年1月28日火曜日

SSc-ILDに対するニンテダニブ

少し古いですがSSc-ILDに対するニンテタニブ(オフェブ(R))のRCTを読んでみました。
ハードエンドポイントの改善はなく、臨床効果も極めて僅かなので臨床インパクトは弱めですが、全く有効な薬剤がない強皮症の新規薬剤ということを考えると、大きな意味があります。
消化器症状と金銭面が許容できる早期患者では、基本薬として入れておいて良さそうな印象は持ちました。生存期間など今後の長期成績でまた変わるかもしれません。


N Engl J Med. 2019 Jun 27;380(26):2518-2528. (SENSCIS Trial)
デザイン: Double-blind RCT
P: レイノー以外の症状発症から7年以内の強皮症で、HRCTで肺の10%以上に線維化があり、かつ%FVC 40%以上で%DLco 30~89%の患者。PAHは除外された
I: ニンテダニブ150mg 1日2回経口投与
C: プラセボ対照(1:1ランダム化割付)
O: 52週後のFVC減少率。副次エンドポイントで52週後のmRSS、SGRQも評価
解析: ランダム係数回帰モデル

結果:
・576名がエントリー、約半数でMMFが併用されていた
・FVCはニンテタニブ群で-52.4ml、プラセボ群で-93.3ml (p=0.04)
・ΔmRSSはニンテタニブ群で-2.17、プラセボ群で-1.96で有意差なし
・ΔSGRQはニンテタニブ群で+0.81、プラセボ群で-0.88で有意差なし
・下痢がニンテダニブ群で75.7%、プラセボ群で31.6%に認められた

まとめ:
・ニンテタニブはSSc-ILDのFVC低下を有意に抑制する
・臨床症状を改善するほどの劇的な効果はなく、皮膚硬化も改善しない

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