2020年2月15日土曜日
HAV/HBVワクチンの互換性
Clinical question:海外でAvaxim、Engerixを打った方の続きの接種をどのように行うべきか
タイでHAVワクチンを1回、HBVワクチンを2回接種した方が、HAVの2回目とHBVの3回目を打ちたいと小生の外来を受診されました。
HAVはAvaxim、HBVはEngerixを使用していましたが、いずれも当院で扱っていないのでワクチン間の互換性について調べてみました。
Engerixとヘプタバックス(海外名:Recombivax HB)は互換性あり、とPinkbookにも記載されておりますので、ヘプタバックスに切り替えて良いと思うのですが、Avaximは米国で承認されていないため、Pinkbookには記載がないようです。
なお国産のエイムゲンは勿論、互換性の検証はされていません。
英国のGreenbookに、AvaximとHavrixとVaqtaは互換性があるという記載を見つけました。
http://media.dh.gov.uk/network/211/files/2012/07/chap-17.pdf
"Four monovalent vaccines are currently available, ...These vaccines can be used interchangeably."
この記載の根拠論文は以下の2つのようでした。
Vaccine. 2000 Nov 22;19(7-8):743-50.
Vaccine. 2001 Aug 14;19(31):4429-33.
上がHavrixとVaqtaのRCTで、下がAvaximとVaqtaのRCTです。
いずれのStudyも2回目でそれぞれ別の製剤に切り替える群と比較していますが、上は4週後、下は26週後にどの群も抗体獲得率が100%になっています。
HavrixとVaqtaはinterchangable、AvaximとVaqtaはinterchangableということになりますが、HavrixとAvaximを互換性ありと判断してよいのでしょうか? 少し疑問です。
interchangableの interchangableは 厳密にはinterchangableではないと思いますが、恐らく interchangableであろうという推測はできるので、事実上はinterchangableとみなして記載されているのだと思われます(ゲシュタルト崩壊)。
最後におまけの考察です。
ご存知のようにHavrixとTwinrixとEngerixはいずれもGSKが販売元で、含まれている抗原は同じであり、A型の抗原量だけが異なるとのことでした。
(Havrix Adult 1440EI.U、Engerix 20μg、Twinrix = Havrix 720EI.U+Engerix 20μg)
この患者さんの最後の接種としてTwinrixは普通は使わないと思いますが、一応興味で互換性があるのか調べてみたところ、以下のRCTを見つけました。
Vaccine. 2000 Aug 15;19(1):16-22.
1(1+2)回目をHavrix+Engerixで接種し、2(3)回目をTwinrixに切り替えても、7ヶ月後のHAV/HBVの抗体獲得率はいずれも100%だったとのことです。
2回目はBoostなので抗原量が少なくてもあまり問題ないということでしょうか。
Answer:ヘプタバックスとHavrixで続きの接種を行って良い(エイムゲンはダメ)。
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