Lancet Rheumatologyにアナキンラのパイロット的なデータが掲載されました。
アナキンラ群のほうが重症例が多いにも関わらず、治療成績が良いです。死亡率が改善するにも関わらず挿管率が有意に改善していないので、好意的に見ればもう少し早期に使うべき薬剤ということを意味するかもしれません(アナキンラ群は挿管までで済んだ)。
とはいえ後ろ向きなので色々なバイアスがありそうで、RCTでひっくり返る可能性は十分ありそうです。
Lancet Rheumatology. May 07, 2020.
Interleukin-1 blockade with high-dose anakinra in patients with COVID-19, acute respiratory distress syndrome, and hyperinflammation: a retrospective cohort study.
Design
- 後ろ向き観察研究
対象
- 中等症~重症のARDSで、高炎症を伴うCOVID-19
- 重症の定義:P/F<200、かつPEEP>5
- 高炎症の定義:CRP>10mg/dL and/or Ferritin>600ng/mL
- ステロイド投与者は除外
方法
- 後ろ向きに収集したデータからアナキンラの臨床効果を評価
- 全患者に標準治療としてHCQ (200mg1日2回)とカレトラ(LPV/r 400/100mg 1日2回)が投与された
- アナキンラ低用量は100mg1日2回 sc、高用量は5mg/kg 1日2回 ivが、標準治療に加えて、臨床的改善が得られるまで投与された
- 改善の定義:CRP 75%減少、P/F>200が2日間維持できる
結果
- 29名が高用量アナキンラ、16名が標準治療、7名が低用量アナキンラを投与された(全例NIV)
- 低用量プロトコルはCRPの低下や臨床的改善と関連しなかったため7人目以降中止された
- 21日生存率は、高用量アナキンラ群で90%、標準治療群で56%だった(HR 0.20, 95%CI: 0.04-0.63, p=0.009)
- 機械換気に移行しなかった率は、高用量アナキンラ群72%、標準治療群50%だった(HR 0.5, 95%CI:0.16-1.30, p=0.15)
- 菌血症が高用量アナキンラ群の4/29(14%)、標準治療群で2/16(13%)で発生した
- 高用量アナキンラ群の死因は、肺血栓塞栓症(n=1)、呼吸不全(n=1)、多臓器不全(n=1)
- 標準治療群の死因は、呼吸不全(n=3)、多臓器不全(n=3)、肺血栓塞栓症(n=1)
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